2024年8月16日金曜日

法則性詐欺と期待詐欺

 いちおう、他人のことと自分のことをわけて考えなければならないのだけど、どうしようかな? 言いたいことは、すでに「判断がある」ということだ。「悪いことが起こるのではないか」という判断がある場合、そう「自分が判断した」根拠というのがある。本人が(自分が)その根拠について明確に説明できないとしても、そう思うだけの根拠があるのだ。それは、時系列的な認知・認識の連続の上に成り立った根拠だ。だから、妄想的ではない場合は、ちゃんと、時系列的な認知・認識が成り立っている。

その場合、すでに「悪いことが起こるのではないか」と思っている。なので、まず、それがさきにある。そのあと、それだと不安なので、「悪いことは起きない」「いいことが起こる」と意識的に、不安を打ち消そうとするのである。もちろん、不安を感じている自分も、不安を打ち消そうと思って「いいことが起こる」と考えている自分のことも、自分は知っている。この自分のことを、意識的な自分とは、わけて、無意識的な自分ということにしておいてもいいけど、ともかく、自分自身が、不安を打ち消そうとしているということを知っている。

なので、「いいことが起こる」と思う根拠は、じつは、悪いことが起こるだろうという判断だということになる。悪いことが起こる確率が高いと判断したから、逆に「いいことが起こる」と思い直して、「いいことが起こるようにしよう」としているのだ。けど、さきに、自分自身が「わいることが起こる確率が高い」という判断をしたわけだ。この判断には、根拠がある。

自分の条件を考えると、こういうことが起こりそうだという判断があるのである。無数の条件がある。意識にのぼってくるのは、特に重要な条件だ。その重要な条件で、不利な状態だということを認知・認識したあとに、無理やり「いいことが起こる」と思い直しているというのが、「現在」の状態だ。その人の現在の状態だ。基本的に、本人が認知・認識しているように、条件が悪いのである。

それは、生まれながらにもっている条件かもしれないし、最近になって発生した条件かもしれない。条件が悪いと考える根拠がある場合、あるいは、条件が悪いと感じてしまう根拠がある場合、条件に合致した悪いことが起こる確率が高い。これは、条件がうみだしているものだ。思考がうみだしているわけではないのである。順番を考えると、条件→感覚→思考ということになる。この場合、条件を無視して、思考だけを書き換えたとしても、条件がかわらないのだから、条件がもたらす結果がしょうじる確率が非常に高い。だから、思考だけを書き換えても、条件を、現実的な行動によってかえなければ、高い確率で条件に合致したことが起こるのである。

言いたいのは、思考だけを、書き換えても、条件がかわらないのであれば、結果は、かわらないということだ。けど、一度、「悪いことが起こるかもしれない」と思って、それを、意識的に書き換えたので、悪いことが起こると思ったという事実が残ることになる。なので、実際に、未来のある時点で、その悪いことが起こった場合は、「悪いことが起こるかもしれない」と思ったから悪いことが起こったのではないかと考えてしまうのである。しかし、この考えというのは、まちがっている。条件を無視するべきではないのだ。

幼児的万能感にしたがえば、すべては、思ったとおりになると考えがちなので、あたかも、思ったことをかえれば、現実がかわるような錯覚(まちがった感覚)が生じてしまうけど、思ったことをかえただけでは、条件がもたらす『未来』の出来事をかえることができない……場合のほうが多い。思っただけでかえられる確率は非常に低いというとになる。思ったことをかえた……それで、実際に行動したという場合と、思ったことをかえただけで(条件をかえるような行動を)実際にはしなかった場合というのは、ちがう。本人が思ったことをかえただけだと思っている場合も、実際には、行動をかえている場合がある。そして、条件というのは、流動的で、外部の条件もあるので、外部の条件が本人の「意志」とは関係なくかわる場合がある。しかし、確率ということを考えるなら、思いをかえただけで、未来の現実がかわる確率は非常に低いと言わなければならない。本人の思いをかえた時点と、ほかの(外的な条件)がかわった時点がおなじか、短い間隔で前後している場合は……誤解なんだけど……過去のある時点の自分が思いをかえたから、現実がかわったと……未来のある時点の自分が、認知・認識する場合がある。この場合は、ようするに、思いをかえただけで、よいことが発生したと(あとの自分が)認識する場合だ。あとの自分というのは、未来の自分のことだ。

たいていの場合、思っただけでは、本人をとりまく……現実的な条件がかわらない。悪い条件をかかえている人は、悪い条件をかかえているので、悪いとが起こりがちだ。悪いことが起こる確率が高い。その場合、「思い」をかえることだけで、条件をかえることができるかというと、条件をかえることができない。なので、「思い」をかえるだけで、未来がガラッとかわるようなことを言うのは、よくない。対策になってない。対策になってないものを、有効な対策のように言う。こんなの、期待詐欺だ。法則性詐欺と期待詐欺をしているということになる。

精神世界の人たちの主張は、思ったことをかえれば、それだけで、未来がかわるということなのである。しかし、条件がもたらすことは、かわりにくい、のである。

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