デノミネーションについてちょっとだけ言っておこう。デノミネーションというのは、通貨切り下げのことだ。端数の問題をのぞいて、経済には影響をあたえないことになっている。たとえば、いままで、100万円のものを1万円とするとする。
ようするに、100分の1にするのだ。その場合、100万円のものが、1万円のものになる。100万円の借金が、1万円の借金になる。
けど、100万円の借金が1万円の借金になったから99万円ぶんだけ、得をするのか?
いや、得をしない。
いまの1万円の借金というのは、デノミネーションをするまえの100万円の借金とまったくおなじなんだよ。なので、デノミネーションをしたから、借金が少なくなるなんてことはない。
端数の問題というのは、たとえば、145円のカップラーメンが、デノミネーションをしたあと、いくらになるのかということだ。100分の1にした場合、1円なのか、2円なのか。1円の単位を切り捨て、10円の単位を四捨五入したら、1円になる。
けど、1円の単位を切り捨て、10円の単位を切り上げたら、2円になる。1円の単位を四捨五入して、150円ということにして、10円の単位を四捨五入したら、2円になる。ようするに、100分の1にしたら、10円の単位と、1円の単位がなくなってしまうので、どういうふうに、10円の単位と1円の単位をあつかうかによって、ちがいがしょうじる。
だから、端数にかんしては、影響をうける。端数以外にかんしては、影響をうけない。
けど、心理的には、影響をうける人がいるかもしれない。心理的に影響をうけて、その人の経済的な行動がかわるなら、経済に影響が出る。まあ、心理的な影響をうける人がどの程度、出るかわからないし、経済的な行動がかわると言っても、どの程度。経済的な行動がかわるかは、わからない。まあ、心理的な影響は考えなくてもいいと思う。
しかし、端数の問題はある。
たとえば、旧価格で145円だったカップラーメンが新価格で1円になったとする。その場合は買うという経済的な行動をする人がいたとする。旧価格で145円だったカップラーメンが新価格で2円になったとする。
その場合は、買わないという経済的な行動をする人がいたとする。なら、端数処理の数学的な問題は、実際の経済行動に影響をあたえた言えるかどうか。言える。けど、その問題まで含めて、端数の問題と言う場合がある。
単に、端数処理の問題なのか、端数処理が実際の経済行動に影響をあたえるという問題なのか、それが問題だ。