むかし、寿司屋で、酒を飲みながら、でかい声で話している数人の男がいたんだけど、全員ぶんなぐってやればよかったな。特に、俺の注文を邪魔したやつはゆるせない。
いやー。なぐらなかったわけだけど、地声がでかい集団というのはいやだな。俺がどなっているのに、店主に注文が聞こえないんだよ。あれは、ほんとうに、頭にきた。どうして、いつも回転寿司だけど、たまにはちゃんとした寿司屋に入ってみるかと思って、普段とはちがう行動をしたときは、そういうことになるんだろう。これ、「普段とはちがう行動をするのは、運をよくする」とか書いてあった本を読んだときの話なんだよな。「普段とはちがうことをやってみるのが、大切だ」……。こんなあほなはしを信じるんじゃなかった。
なぜからないけど、本に書いてあるアドバイスを実行すると100%の確率で、ものすごく腹がたつことが……起こるのだ。
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カウンターに座って、でかい声のやつらが話してたんだよね。あれ、つば、とぶわぁーー。たしかに、エル字型のカウンターだから、あいつは、横を向いて話していた時間が長いんだけど、ちょっとは正面を向いて話すだろ。あの店主も店主なんだよな。注意をしろ!
そして、注文してから、にぎって出るまでの時間が長かった。あれ、きちがいがでかい声で、唾を飛ばして話しているのだから、すぐに持ってきてほしいんだよな。これ、ほんとう、けっきょく、おばさんん店員がきて、俺の注文を聞いたんだけど、おばさんも、なんて言うのかな……何回も、聞きなおすような感じだった。そして、醤油が、ものすごくどろどろした濃い醤油なのである。あれじゃ、醤油の味しかしない。
ちょっとずつ、もってきて、ほしかったんだよな。けど、注文が通らない。きちがいがでかい声で話しているから、注文ができない。あの店主も、はなれたところでにぎったからだいじょうぶだみたいなことを言ってたけど、つばがどれだけとぶかわってないなぁ。あのカウンターの距離じゃ、つばの飛沫が、つく。
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まあ、ぼくは、回転寿司で食うのがいい、ということでしょう。しかし、ワクチンを打ったやつが多くなったので、回転寿司もいけない。新型コロナウィルスじゃなくて、ワクチンに入っているものが産生したいろいろなものが、いやなんだよ。しかも、若いときは、回転ずしもめったに行けなかったのである。ははっ。それで、自分の意思で入るはじめての「回転しない」寿司屋で、そういうことになってしまう。