そうだ。そう言えば、まるで、人が入っていないカレー屋があったんだけど、ぼくは、そこに入った。
そうすると、カレー屋が混んできたのだ。
飯の時間からは、はずれていたけど、そういうことが、ぼくにはよくある。
そのカレー屋には、しばらく通ったんだけど、ぼくが通いだしてから、大繁盛になった。もう、いつも、人がいる状態になって、混んでいた。
でっ、あるとき、ちょっとトラブルが発生した。
ぼくは、いつもチキンカレーを食べていた。その店のチキンカレーは、汁汁カレー(スパイスカレー)だったのだ。まるで、ドロドロしていないタイプのカレーだ。
ドロドロしていないタイプのカレーを食べたくて、当時、人がまったく入っていないそのカレー屋に入った。ぼくは、気がつかなかったのだけど、ビーフカレーとポークカレーは、ドロドロ系のカレーだったのだ。
店名からして、スパイスカレーだけを提供しているのかなと思っていた。
でっ、チキンカレーがないときがあったんだよ。
だから、ポークカレーを注文した。
でっ、まあ、店主が「スパイスカレーじゃないけど、だいじょうぶですか」と言うので、ぼくは、「それじゃあ、ビーフカレーで」と言った。
そうしたら、店主が「ビーフカレーもスパイスカレーじゃない。スパイスカレーは、ないと言っているだろ!!!」と怒鳴ったんだよね。
いやーー。そっちは、チキンカレーしか、スパイスカレーじゃないということを知っているけど、こっちは、いつもチキンカレーしか注文していないから、ほかのカレーがどうなのか知らなかったんだよね。
でっ、怒鳴られたから、気分が悪かった。そのときは、けっきょく、ポークカレーを食べた。
でっ、そのあと、そのカレー屋には行かないようにした。
店構えや、店名が、いかにも、全部、スパイスカレーであるようなカレー屋なのだ。
じつは、スパイスカレーを提供しているカレー屋は、ほかにもあった。
とりあえず、カレー屋Bということにしておく。カレー屋Bは、いつも混んでいたのだ。値段も高かった。
だから、なんか、いつも、人がいないそのカレー屋に行くようになっわけ。そのカレー屋のことをカレー屋Aということにする。
カレー屋Aはちょっと繁華街からははずれたところにある角地のカレー屋だった。まあ、ぼくにとっては、隠れ家(かくれが)的なカレー屋だった。
けっきょく、カレー屋Aではチキンカレーしか頼まなかったから、ほかのカレーがドロドロ系カレーだということを知らなかった。
だいたい、チキンカレーはスパイスカレー(汁のカレー)なのに、ビーフカレーとポークカレーは、ドロドロ系のカレーになるなんて、わかるわけがない。
ともかく、怒鳴られたので、気分が悪くなった俺は、そのあと、そこに行かなかった。そうしたら、店がすっからかんになって、けっきょく、つぶれてしまった。
ぼくは、人を呼び込む人なので、邪険に扱うとだめなのだ。
レジでも、ぼくが並ぶと、いつのまにか、うしろに列ができるようなところがある。すいているから、並んだのに、うしろを見ると、いつのまにか、行列ができている。
けっこう、そういうことが多い。
ここを読んでいる人たちには、信じられないかもしれないけど、ぼくには、人を引きつけるなにかがあるのだ。
ぼくが行くと、はやりだして、ぼくが行かなくなると、すたれるというのは、けっこうあるんだよ。
まあ、種明かしをすると、だれもいない店に入れるかどうかというのは、人によってちがう。ぼくは、だれもいない店に入ることができる人なんだよ。それだけ。うしろに行列は、まあ、偶然だと思う。
だれもいないと思って、レジに行くと、うしろに行列(ができていた)……ということ……だけど、別に飯時とかそういうことではない。
だいたい、混んでいるときは、ぼくが並ぶまえから、混んでいるので、ぼくも、行列の最後尾に並ぶことになる。