『謙遜自慢』をするやつがいるんだよな。謙遜しているのに、自慢しているやつ。
自分がカルティエの腕時計を買って、悦に浸っていたのだけど、友達にあったら、友達がロレックス・デイトナをしていた。その友達が、カルティエよりロレックスのほうがいいとマウントをとってきた……というような話をする。謙遜している。マウントされたという話をしている。けど、実際には、「高級時計をかえる俺すげーー」「俺よりもっとすげぇー時計をもっている人とつきあいがある俺すげーー」と威張っている。読んでる人のなかには、カルティエを買えない人がたくさんいる。そういう人にむかって、威張っている。
けど、「(ロレックスをもっている友達に)マウントされちゃったよ」と自虐ネタを話している。友達をたてて、自分を低く言っているのだから、謙遜している。けど……。けど……。
それから、たとえば、俺の友達は金をもっているんだぞという話をする。これも、時計の話とおなじだ。「Aさんとあってきた。Aさんは、20億円ぐらいの資産がある。20億円ぐらいの資産がある人は、言うことがちがう。ユニークな視点で物事を考えている」……とAさんのことをほめる。「自分なんてまだまだだ」と言う。Aさんのことをほめて、「自分なんてまだまだだ」と言っているのだから、謙遜している。謙遜しているけど、「20億円持っている友達と対等の話ができる俺、すげーー」「Aさんのような人と交友関係がある俺、すげーー」と威張っている。
そういうふうに、話のなかに出てくる相手のことをたてているのだけど、なぜか、自慢話にしか聞こえないんだよな。しかも、本人は、ほんとうに謙遜しているつもりで、威張っているつもりがまったくないんだよなぁ。自慢しているよね。
高級時計を買えない人に、自慢しているよね。20億円持っている人と交友関係がない人に対して、威張っているよね。自慢しているよね。自慢してないのかな? 謙遜しているだけなのかな?
ほんとんどすべてが、そういう自慢話なのに、本人はまったく気がついてないんだよね。