異世界で、特殊スキルというのは、わからないではない……。魅力がわからないではない。
そりゃ、いやな現実を「いちじてきに!!!」忘れさせてくれる。努力をすると、むくわれる世界だ。あるいは、努力なんかしなくたって、最初から、「俺、つえー」と感じることができる世界だ。
まあ、けっきょく、努力うんぬんという場合だって、神がさずけた、特別な能力をもっているので、けっきょく、最初から「俺、つえー」なんだよなぁ。
話のはじめのほうでは、主人公が、自分の才能に気がついてないだけだから……。その才能に気がつくような事件があって、自分の才能に気がついて、悪役をやっつけるという話だからなぁ。
あるいは、特殊な制限が加えられていて、それが、いろいろな絆をつくりだすというような話だ。制限が加えられているけど、その世界で、一番つよいと言えるぐらいには強いという感じかなぁ。まあ、悪い敵や、よいライバルがあらわれて……そいつらとも、バトルするけど、けっきょく、主人公が勝つという話が多い。
最初から、「モブ」じゃない。
最初は、みじめなモブのような状態でも、モブじゃない。最初から、特別な才能をもっている。ただ、本人が気がついてないだけだ。
そういう話が多いのだけど、これは、現実の世界を反映している。ほとんどの人が「モブ」で、「モブ」としてのストレスを抱えているので、こういう「お話」のなかで、ストレスを発散するのだ。
ストレスがたまってなかったら、異世界転生ものなんて、こんなにうけるわけがない。「転生」しないとどうにもならないほど、くるしい人が多いから、異世界転生ものがうける。
主人公目線で、夢想して、無双して、ストレスを発散しているのだ。現実世界では、つかれまくっている。