あーあ。あの人と付き合っておけばよかったか。こっちが惚れたわけじゃないけど、いろいろとやらせてくれそうな感じだったな。もう、そんなのも、２０年前だ。２０年前だよ。２０年前。いいかげんにしろっての。で、まあ、どれだけさみしい人生なんだ、と。どれだけ、ひとりで行動しているんだよ、って。ほんとうにはぐれてしまった。でっ、また、ほかの人といても、長期騒音のことでけっきょくは、楽しくないんだよ。気分がのらない状態なわけ。そういう人といるのは、あっちもつらいでしょ。けど、このままでは死ねないという気持ちになるときがあるわけ。けど、実際にはどうすることもできないわけ。
この悩みから、どこか、離れたところに行きたい。遠くに行きたいというのは、物理的に遠くに行くことじゃなくて、長期騒音という悩みがない世界に行きたいということなのだ。ぼくは、長期騒音で楽しむ能力も失ったし、いっしょにいてくれる人も失った。
そのあとは、ずっと孤独だよ。孤独孤独孤独。どこに行くのもひとり。ひとりひとりひとり。まあ、業務上というか、知り合いと行動するときもあるのだけど、彼女でもないし友達でもない。けっきょく、ひとり家に帰って、ひとりで、ベッドに入る。
「おかあさん、ただいま」なんて言うときがあるんだよ。もちろん、返事なんてないさ。
