「人生ゲーム化」という考え方がある。むかしも、これについて書いたことがある。人生ゲーム化というのは、人生をゲームのように考えて攻略しようという考え方だ。「ゲームはおもしろいのに、どうして、人生はおもしろくないのか」「人生をゲーム化しちゃえばいいんじゃない」と考えたということだ。
ぼくは、じつは、ドラクエというゲームをやったことがないという少数派だ。どのバージョンも一回もやったことがない。だから、人生ドラクエ化と言われてもあんまりひびかないのである。
けど、とりあえず、ゲーム化の話をしよう。ところで、ゲーム化には、ゲーミフィケーションという英語の表現もある。
どうして、ゲームのように人生はおもしろくないのか?
これは、じつは、ゲームがおもしろいという前提が成り立っているけど、ほんとうは、クソゲーやムリゲーがあるから、おもしろくないゲームもあるのだ。
おもしろくないゲームはやらなければいいので、おもしろいと感じるゲームだけ、やればいいということになっている。
だから、「ゲームはおもしろい」と感じてあたりまえなのだ。本人が、おもしろいと思っているゲームだけやっているからだ。そして、おもしろいと思ってやっていたゲームも、おもしろくなくなれば、やらなくてすむ。おもしろくないと思っているゲームをずっとやらされることはないのだ。
ようするに、「おもしろくない」と思ったら、やめることができるというのも、重要な要素だ。
「ゲームのなかにあらわれる敵を倒すように、現実の課題を倒していけばいい」という考え方がある。敵を倒すのは、まあまあ、おもしろいことなのである。
とりあえず、ゲームのなかに出てくる龍を倒すということ考えてみよう。
ゲームのなかで、龍にやられても、やりなおせばいいのである。ライフを三つもっていれば、三つは、やりなおせる。三つやられても、ゲームを最初からやり直したりセーブポイントからやりなおせば、それでいいというとになる。
ところが、人生だと、やられたらおしまいなのである。やられたらおしまいである場合は、よっぽどの人じゃないと、「敵を倒すこと」を楽しめないだろう。死んじゃうわけだから、リスクが大きすぎる。
そして、ゲームの場合は、いちおう、中立的な状態でやっているということがある。ほんとうに体がしんどいのであれば、ゲームをやらないという選択ができる。痛いところがなく、他にやりたいこともなく、腹が減って動けない状態でもない。
ようするに、ゲームをできるぐらいは、健康なのである。ゲームを楽しむ余裕があるのである。ゲームを楽しむ余裕がないときは、ゲームをしなければよいのである。
だから、ゲームを楽しめるのである。ところが、人生の場合は、体がだるくても、体がいたくても、腹ペコでも、とりあえず、生きていなければならないのだ。
人生というゲームからは降りられない。降りたら、それで、おしまいだ。
調子が悪いときは、やらなくてもいいゲームとは、ちがうのである。
体の調子がいいときにやってるから、楽しめるという側面がある。だいたい、さっきも書いたけど、やりたくないゲームはやらなくてもいいわけだし、おもしろいと思っているゲームをやっているわけだから、おもしろいと思うのも当然だ。
リアル人生の場合は、環境の差がでかすぎるのである。まあ、課金ゲームだと、人によって、条件がちがうわけだ。課金ゲームのように、あるいは、課金ゲーム以上に、差があるのである。
この差は、そのまま、人生ゲーム攻略のむずかしさに直結している。
差があるので、格差において、下の人や中の人は、不愉快な思いをするようになっているのである。人生において、差がありすぎるので、上位10%ぐらいにはいらないと、人生がつらいものになるということが、決まっているのである。
だから、「ゲーム化して」楽しんでみようというような考え方が、うかぶのである。実際の人生がつらすぎるので、「どうして、こんなに、つらいのか」と思うわけだ。つらさを緩和するために、ゲーム化という方法を考え出したのだ。最初から、人生がゲームみたいに楽しかったら、そんなことは、考えもしないのだ。
つまり、多くの人にとって、人生が、つらいゲームなのである。最初から、環境の差があるので、多くの人にとって、人生というリアルなゲームが、つらいものになっている。初期値で、つらさの値が高い人が、多いのである。
リアルな環境が、リアルなつらさを引き起こすということを、覚えておこう。
そして、リアル社会の敵というのは、ゲームのなかの敵のように、いいやつらではないのである。敵を倒すと、アイテムがドロップして、そのアイテムを使って、そのあとの戦いを有利に進めることができるというようなゲームが多い。
けど、リアル社会では、敵が、アイテムをドロップしてくれないのである。
いやなやつは、いやなやつのまま、生きている。
まあ、死ぬ場合もあるけど、たいていの場合は、自分の攻撃によって死ぬわけではない。自分の攻撃によって相手が死んだ場合、たいていの場合は、罪を問われ、罰を課されるので、これは、バットエンドだ。
ともかく、リアルな敵は、魅力のあるアイテムをドロップしてくれないということを覚えておこう。