また、不愉快なことを思い出した。誤解された。
不愉快。だいたい、言うかどうかの迷いがあるんだよ。社長でも言ってやればよかった。あと、あの女の人はどうして、俺が口をきけないときに、挨拶をしてくるんだ。あれ、説明をすればよかったな。社長と言っても、俺は客だから、別に立場がしたというわけではない。けど、いちおう、手伝いに来てくれたので、言いにくかった。
ともかく、ちょっとしたことを思い出すなぁ。「言えばいかった」「言わなきゃよかった」……どっちのケースもふっと、思い出してしまう。あれは、あの女の人に、挨拶を返さなかった理由を言っておけばよかったな。くちをゆすぎたかった。
小さいことなんだよなぁ。けど、あのあと、ほかの日に、あの女の人には、こっちから積極的にあいさつしたからいいか。なんか、ふてくされてたんだよな。「無視したって……」。タイミングがわるすぎる。で、また、なんて言うのかな、ネズミの糞と、暑さで、お勝手でくちをゆすいでも、不愉快な気持のままだった。
まあ、ともかく、小さな、いやな思い出が、寝ようと思うと浮かんでくる。
