生きているうちにやりたいことってあるでしょ。けどさぁ、それがさぁ、めちゃくちゃなんだよ。人のやりたいことリストを見ていると、ひとりでできることと、相手がいないとできないことがある。あとは、金があればできることと、金があってもできないことの区別がある。相手がいないとできないことであって、金があってもできないことは、ある。たとえば、１９歳になって、もう一度、あのときのあの子と、恋愛をするということなどだ。それは、無理なんだよ。あのときのあの子にこだわっているかぎり、さきはないわけ。
人のやりたいことリストを見ていると、わりと共通した項目が出てくるんだよね。旅行系、幸せな家族系、旅行以外の体験系。
バンジージャンプ、スキューバダイビング、スカイダイビング、ハンググライダー、パラグライダー、飛行機、ヘリコプター、リムジンなのどの高級車に乗ること。
うむーー。まあ、ひとのやつはいいや。けど、俺が言いたいのは、このあいだも書いたけど、むなしいということだ。これ、普通の人だと、たとえば、やりたいことリストにあることをやればうれしいわけだろ。なんとか遺跡があるところに行きたいと思って、なんとか遺跡があるところに行ったら、うれしいわけだろ。それが、ぼくにはないのだ。枯れてしまった。騒音で枯れてしまった。これ、実際に経験したことがものを言うんだよな。さすがに「感覚」が疲労するというのがある。実際に経験したことが重要。くりかえしくりえし、実際に経験したことが重要。それに比べたら「楽しい楽しい」と言うことなんて、まったく意味がない。「楽しい楽しい」と言っていれば、楽しくなる。どんなつらい状態だって楽しくなる……。これ、ニュートラルな人が言っているだけだから。いや、ある意味、幸せな人が言っているだけだから。こういう人が言う、「つらい状態」なんていうのは、たいしてつらい状態じゃないんだよ。どうしてかと言うと、「楽しい楽しい」と言っていれば、楽しくなる」など言っていられるようなつらさでしかないからだ。
